420 PUMA DIEGO MARADONA

Made in West Germany

日本でもマルチスタッドの同じモデル名のスパイクがありましたが、こちらは別物になります(ご参考)。

こちらのコラムでも紹介させていただきましたが、ディエゴ様のアルゼンチンの旧家から出てきたスパイクです。

左足は少し印字が消えかけていますが…、

こちらは多少まともです。

アルゼンチンへ持ち込めるドルの限度額の都合で、もともと片足のみ購入の予定でしたが、運よく両足とも入手することができました。しかし、ソールはきれいに取り除かれてありませんでした。

このスパイクの原形は、おそらくこれに近かったのだと思います。

87年にゼロックスサッカーで来日された時に、練習で履いていた固定式モデルです(富越さん撮影)。

市販でも似たようなモデルはありましたが、側面に「DIEGO MARADONA」と印字されたご本人専用モデルだと思います。

登場した時期はメキシコW杯以降だと思いますので、こちらのモデルのようにご本人の足型に合わせて作られたのかもしれません。

以前であれば、プーマジャパンにお願いしてパラメヒコのソールをつけてもらうことができましたが、現在は対応してもらえなくなりました。

同じサイズの固定式ソールを他のモデルから移植することも考えましたが、せっかくですので、イタリアのコレクターが持っている取替え式ソールタイプにすることにしました。

こちらでも紹介しましたが、おそらくイタリアには数足現存しているようです。

世界有数のディエゴ様グッズコレクター所有のスパイク。上は内張が劣化しているようですが、両足そろっています。下は内張はきれいですが、片足しか飾られていません。この所有者はSPA KINGもお持ちですが、おそらくすべてご本人から実使用品として入手されたと思います。

上のものと同じかもしれませんが、ディエゴ様の写真集を発刊された方が、その出版記念で飾っていたスパイクがこちらです。

こちらも、細かい汚れの違いから判断すると、別の方が持っているモデルかもしれません。

このスパイクの画像を見つけたのは、本を書いていた2016年ぐらいだったと思います。

スパイク自体は市販の80年代のKINGと同じ構造ですが、80年代後半ではあまり目にすることがなくなった黒・白2色ソールでした。

2色ソールの場合、高級品は黒・黄色と思っていただけに、以前は、市販マラドーナシリーズ日本製廉価版モデルに採用されていた黒・白2色ソールがディエゴ様専用モデルに使われていたのは少し不思議でした。

ただ、80年代後半は、プーマのあらゆるソールのモデルがディエゴ様には支給されていたようで、ナポリのスパイクロッカーには選びたい放題の数多のモデルが並んでいたようです。

固定式(上段、中段右端)、DUOフレキシブルソール(上段右から3番目と下段右から2番目)、SPAソール(中段右から2番目)、2色ソールは黒・黄色、黒・白のどちらもあります。黒・黄色のソールはかなり巨大サイズもありますが、他のプーマのモデルは、サイズ的にほとんどディエゴ様のものだったかもしれません。

もしかしたら、一旦80年代前半に絶版になった黒・白2色ソールはディエゴ様のリクエスト(わがまま?)で、プーマが復活させたのかもしれません。

ご本人はこのモデルをいたく気に入っていたようで、

代表戦(89年コパアメリカ)でも、

クラブでも、

結構、このモデルを履いてプレーされている画像が多い気がします。

長期間、ご本人にそれなりの数が支給されていたため、上記のようにコレクターにも出回ることになったのかもしれません。

一方で、86年W杯で履いていたDUOフレキシブルソールのモデルですが、

こちらも84年のナポリ在籍時から、クラブでも履いていたと思いますが、コレクターでも持っている情報は見たことがないのは不思議です。

ディエゴ様はナポリを退団された91年以降は、80年代後半とは一変してスパイク供給状況が悪化したようで、

92年ごろのセビージャ時代には80年代のDUOソールモデル(旧型、90年代の新型はこのタイプ)を履いたりしていました。

アルゼンチンに戻られたニューウェルズでは、
このモデルのような黒・白2色ソールの西ドイツ時代のモデルを使っていました。アッパーは黒塗りされ、シュータンの文字はわからなくしていたようです。

さて、繰返しで恐縮ですが、このスパイクはソールがなく、足袋のようなかわいそうな姿でしたので、ソール装着を計画しました。

このモデルのソール装着前(左)。ドナー用のスパイク(右)。もちろん、ソール取外し後はスニーカーとして復活させています。

以前、リーガをたくさん持っていたアメリカ人から、特に何も考えずに、6足も購入してしまいました。

まさか、こんなタイミングで役に立つとは思いもしませんでした。

また、スタッドのネジまで移植するという、とても面倒なソール装着作業を快く引き受けていただける凄腕職人の方と知り合えたのも幸運でした。

・ディエゴ様のスパイクについてのしつこい発信

・西ドイツ製スパイクオタクのコレクション

・ありがたい協力者の方々

これらが実を結んで、これまで手に入れることなどまったく期待していなかったディエゴ様専用モデル、しかも一度ご本人が手にしたものが目の前にあることに感動します。

(2022年10月17日)