KING GEAR Archive VOL83 (2024/02/21)

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英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.83  「ベッケンバウアー選手のスパイク編」

ようやく自分が書いたキングギアのすべてのコラムをブログに転載する作業が終わりました。
ディエゴ様、ペレさん、ベッケンバウアーさんら、サッカー界の偉人たちがこの世を去ってしまった時期に担当していたため、結果的に追悼を兼ねた、20世紀のスーパースター達が愛したスパイクの紹介ができたような気がします。
これからもこの世代のスターを愛した方々が、ふと彼らのスパイクが気になった時の一助になれば幸いです。


(2024年初頭の話題です)
今年初め、またサッカー界のレジェンドがこの世を去ってしまいました。追悼を込めて、アディダススパイクの象徴とも言えるベッケンバウアー選手のスパイクについて書かせていただきました。


1980年代からサッカーを始めた私にとって、ベッケンバウアー選手(以下皇帝)と言えば、すでにスパイクを履いていなかった西ドイツ代表監督のイメージが強いです。
このコラムを出そうとしていた昨日(2月20日)、皇帝の指揮の下、W杯の準優勝(86年)、優勝(90年)の主力メンバーだったブレーメ選手の訃報を知りました。 そのため、表紙は急遽86年大会のお二人の画像にしました。
まずはお二人のご冥福をお祈りいたします。

さて、昭和からのサッカーファンが、サッカー界で誰が偉人かと問われたら、まず名前が挙がる方々が、ペレさんクライフさんディエゴ様、そして皇帝ではないかと思います。
とうとう、全員この世を去ってしまいました。時代を感じます。
皇帝は数多い歴代アディダススパイクユーザーでもその存在感や知名度は抜きん出ていたので、シグネチャーモデルは数多いですが、やはり実際に履いていたのはそれらのモデルではなく、W杯の実使用品については個人的にナゾが多いです。

皇帝はW杯に3回出場されていますが、初めて出場された66年イングランド大会では、ソールが青いモデルを履いています(図1)。

Thumb e382ade383b3e382b0e382aee382a23e381aee382b3e38394e383bc図1 66年イングランドW杯決勝・西ドイツ対イングランド。このころは皇帝のみならず、アディダスのスパイクは青いソールが主流だったようです。

66年W杯の英雄のいくつかのスパイクはこちらの博物館に所蔵されています。 さて、図2のどれが皇帝のスパイクでしょう?

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図2
 図1の画像からすると一番下が皇帝のモデルに見えますが、実際は一番上だそうです。

真ん中は西ドイツ代表主将ゼーラー選手のもので、一番下はイングランド代表主将ムーア選手のものだそうです。
どれもアッパーは同じ感じですが、皇帝のスパイクとされているソールは青ではなく、黒っぽい革製のようで、3本線がやたらキレイに見えますし、スタッドもこの時代のものではなさそうです。

次に70年メキシコW杯のモデルですが、皇帝は準決勝(イタリア戦)で肩を脱臼しながらもプレーし続けました(図3)。一緒に写っているスパイクが70年ごろの実使用モデルのようです。

Thumb e382ade383b3e382b0e382aee382a25e381aee382b3e38394e383bc図3 2016年ごろに飾られた強大なパネル(メキシコにて)。たぶんアディダスさんの広告だと思います。

実際のプレー中の画像が図4、5です。

Thumb e382ade383b3e382b0e382aee382a26e381aee382b3e38394e383bc
図4
 イングランド戦の時(左)とブルガリア戦。 この大会のアディダスのスパイクは白いアディニールソールが主流になりましたが、皇帝のソールは白くはないようです。


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図5
 どちらもイングランド戦ですが、右図のミューラー選手のソールは白いですが、皇帝のソールはやはり黒っぽいです。  


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図6
上は皇帝実使用モデルですが、私が調べたところ、同じ画像はよく見ますが、70年W杯の実使用と記されたものはないようです。 モデルとしては前回もご紹介した「COSMOS」だと思います。ソールの画像がないのですが、横から見ると白色のソールに見えます。

下は脱臼したイタリア戦の皇帝のスパイクですが、やはりソールは黒いです(一応カラー画像です)。

皇帝のスパイクとしてよく登場する図6上の「COSMOS」は、おそらく壮絶なW杯の試合の影響でできた穴ではなく、練習で使い尽くしてできたのではないかと想像しています。

さて、皇帝の現役時代の集大成は自国で開催された74年西ドイツW杯の優勝だったと思います。 こちらでも紹介しましたが、この時はWM-TOP STARを使っていました(図7)。

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図7
 決勝オランダ戦(左)、ユーゴスラビア戦。さすがにこの大会の皇帝のスパイクのソールは、黒ではなく白でした。

その時のモデルは、なぜか足入れの白い部分の一部が黒く塗られていました(図8)

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図8
 大会前、アディ・ダスラー氏と、大会用のモデル(?)を手に、スパイクについて話す皇帝。
右は75
年、おそらく前年のW杯で使用されたモデルを手にするアディ・ダスラー氏。
左下は74
年大会の皇帝実使用モデルで、黒く塗られた跡が少し残っているようです。  


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図9
 70年代に皇帝をはじめ名選手が使用したモデル。「COSMOS」(左上)、「2000」左下、右3種は「WM-TOP STAR」ですが、つま先の作りやスタッドシステムがそれぞれ異なります。

ほどんどのものをお譲りいただいた「先生」にあらためて感謝いたします。

皇帝は現役~引退後もレアなアディダスのモデルを履いていることがあり、スパイクおたくには興味深い画像が図10です。

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図10
 75年ごろの西ドイツ選手では珍しいヒールにヒモがついたモデル(左)。
(中)現役最後に所属したHSVでは珍しく固定式を使っておられますが、一見、デビューしたてのコパムンディアルか、その前身モデルのスーパーカップに見えますが、どちらでもないモデルです。

(右)90年大会の練習時に、ソールはこちらに似ていますが、やはりこのころの市販品では見たことがない固定式を履いています。

現役で活躍しておられた時期が60年代から80年代前半で、ほぼ知識のない私が語るのもおこがましいですが、以上が皇帝のスパイクの一端についてでした。

最後に、もともと表紙にしようとした画像と、その時の英雄たちのアップの画像です。 いずれも富越さんの撮影された貴重な画像です。
Thumb e382ade383b3e382b0e382aee382a21e381aee382b3e38394e383bcThumb e382ade383b3e382b0e382aee382a213e381aee382b3e38394e383bcミューラー選手も、ダイアモンドサッカーの名実況で有名だった金子アナウンサーも亡くなられてしまいました。
私がサッカーを大好きになった恩人のような人たちに感謝したいと思います。

(画像はgetty images様、Imago images様などより転載させていただきました)


(2026年4月)
こちらの続きでよいか迷いましたが、あの有名な通信社ロイターさんのデジタル画像サイトのすごいスパイク画像が…


アディダスアーカイブ室のスパイクですが、サメ革のプロトタイプについてはこちらに少し書いたことがあります。他の近年モデル(+大昔のモデル)の他に、見慣れない使い古されたモデルが2種類あります。

こちらは74年W杯のブライトナー選手のスパイクだそうです。WORLD CUP74のようですが、つま先はWM-TOP STAR風です。

Getty imageさんにもありました。

HERZOGENAURACH, GERMANY – MARCH 25: A general view of Paul Breitners Football boots from the FIFA World Cup 1974 in the adidas Archive at adidas Homeground on March 25, 2026 in Herzogenaurach, Germany. (Photo by Alexander Hassenstein/Getty Images)

さらに注目すべきは、

90年W杯のヘスラー選手のスパイクだそうです。固定式なので試合用ではないかもしれません。

このモデルは前述した当時監督だった皇帝も練習時に履いていたスパイクと思われます。

たぶん、取替え式はソールがエトルスコユニコタイプのもので、こんな感じだと思います。
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こちらもあればぜひ拝見したいです。

さすがアディダスのアーカイブ室ですね。
ぜひ伺ってみたいです。