Size UK8 Made in West Germany
英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.35 「プーマT字型シュータンのナゾ編」
ここ数年古いスパイクを探しまくっていましたが、このT字型シュータンのシーザーメノッティを見つけた時はテンションがかなり上がりました。
コラムでも書きましたが、アメリカ在住のアルゼンチンの若い方がお父さんが使っていたこのスパイクを出品していました。
出品時の写真も結構適当で、シュータンのデザインはまるでわからないものでしたが、オタクには一瞬で判別できました。
欲しい人など世の中にそういるわけがないですが、是が非でも手に入れねばと勝手に焦りはじめ、直接交渉で売ってもらいました。
おそらくオリジナルは10本スタッドだったと思いますが、アルゼンチン製の12本スタッドソールにきれいに交換されていました。
交換してまで使っていたぐらい、お父さんのこのモデルへの思い入れが強かったため、今まで捨てずに残されていたのかもしれません。
神が日本に初めて降臨されたWユース東京大会(1979年)では、神はこれと似たモデルを履いてMVPとなり、世界デビューを果たしました。
今まで、この大会の特集本は何冊も購入し、神のスパイクについてもかなり調べたつもりでしたが、結局まだナゾだらけでした。
この時履いていたT字型シュータンの固定式も、12本スタッドであることはわかっていましたが、つま先のデザインまでは正直よくわかりませんでした。
写真家・富越正秀さんはこの大会の多くの貴重な写真を撮影されていますが、どれもこの年代では驚くべき鮮明さで、とうとう決定的な一枚がアップされました。
つま先まではっきり写っており、明らかに一枚革で、アッパーはこのモデルに似ています。
さすがに文字までは判別できませんが、ロゴ的には「CESAR MENOTTI」に見える気がします。
想像ですが、神はこの大会では監督をリスペクトし、このモデルのソールを10本スタッドから12本にした特注品を作って履いていたのかもしれません。
82年W杯の初戦(神のW杯デビュー戦)でも、これと似たタイプを履いていました。
このスパイクの前所有者の方は、細かいところまでこだわって、神仕様モデルを自作したのかもしれません。
ある意味、とても珍しいモデルとは思いますが、オリジナルの10本スタッドのモデルも手にしたいものです。
(2019年6月26日)
(追記)
多分、平成になってからT字シュータンを意識したモデル(ガナドール)も作られたようですが、白い部分が少し大きすぎな気がします。できればもう少し似せてほしかった。
230 PUMA GANADOR
(2020年11月16日)