
英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.46『サッカー博物館に物申す編』
サッカーの歴史を語る上で、当時のスーパースターの実使用品は欠かすことができない重要なアーカイブだと思います。世界のどこかで、古今東西のスーパースターの重要な品々を集めたサッカー博物館がときどき開催されているようですが、スパイクについては首をかしげるようなものが多いので、ちょっと物申させてください。
サッカーも様々な個人技があると思いますが、体操のように選手の名前がついたワザは珍しいと思います。
巻頭写真は、サッカープレーヤーなら誰でも知っている「クライフターン」をご本人が披露した時のものです。
前回、74年W杯のスパイクについて紹介しましたが、この大会でのクライフ選手の活躍は今も伝説として語り継がれています。 当然、クライフ選手レベルであれば、その実使用品は博物館級であり、世界最高峰のサッカーグッズコレクターが主催するサッカーレジェンド博物館の目玉でもあるようです。
ブースの説明によると図1は74年W杯予選のベルギー戦のクライフ選手実使用ユニフォームだそうです。スパイクはオブジェなのかもしれませんが、一応、ネット上ではその時使われたものと書かれていました。
え…、ありえない(絶句)。
写真家の富越さんがその試合の画像をSNSにアップしており(図1右)、ユニフォームは確かにそれっぽいですが、スパイクは取替式です。
固定式、取替式は大した問題ではなく、実はこのモデルはまったく違うところでも使われています。
神が少年のころ使ったベッドの傍らに置いてあるスパイクは、いい具合にやれていて、いかにも本当にご本人が使った感じですが…。
ありえません。
ボルシアというモデルは日本でも売られていましたが、8千円ぐらいのモデルでした。
プーマもアディダスも強豪サッカークラブのあるヨーロッパの都市名がついたスパイクはたくさんありました。
ただ、どれも一般プレーヤー向けのお手軽モデルだったと思います。 この価格帯のモデルをクライフ選手や神が使ったのであれば、ある意味うれしいことですが、まずありえないでしょう。
さて、レジェンド博物館の主催者はアルゼンチンの方ですので、当然、神のブースはお宝グッズ満載のようです。
ユニフォームは所属クラブ、アルゼンチン代表の各年代のものがそろっているようです。 ただ、スパイクは…。
説明によると黄色ラインのアディダススパイクは79年の神の実使用だそうです。 確かに神はプロ入りした頃(76年頃)はアディダスを使われていましたが、皇帝モデルは履かないだろうなあ…。 79年は東京でのWユースでプーマを履いて大活躍して優勝した時です。
プーマのスパイクも置いてあるのですが、これも拡大してよく見ると前述の「BORUSSIA」に見えます。
別のブースで90年W杯神実使用スパイクとして飾られているのがこちらです。
90年大会の神のスパイクについてはこちらをご参照ください。その時の実使用はこの方がお持ちです。
なんだかスパイクおたくからすると、この手の博物館は
「昔のスパイクのことなんかだれも知らんから、適当に使い古し置いとけ」
みたいな感じがするんですよねえ。
ユニフォームならメーカー、デザイン、背番号で認識しやすいのでしょうが、スパイクは、昔は黒一色が普通だったのでコレクターでも細かいことはご存じないんでしょうね。
ただ、これぐらいのレベルのレジェンドはスパイクも由緒正しいものを展示すべきだと思います。
中途半端なモデルを置くぐらいなら、実使用ではなくてよいので、その頃実際に使用したモデルに近いものを置いた方がいいような気がします。 例えばこれなんかどうでしょうか?
あるわけないですが、オファーがあればいつでもお貸しします。
さて、巻頭はキレキレのクライフターンでスウェーデンDFのオルソン選手が翻弄されているシーンなのですが、この方のスパイクは驚きのカラーです。
クライフ選手のスパイクはこちらに似たモデルだと思いますが、オルソン選手のみならずこの大会のスウェーデン代表選手は、この時代では極めて珍しいカラースパイクの方が何人かおられます。
74年大会でスウェーデンは2次リーグで敗れましたが、優勝した西ドイツ戦も善戦し健闘しました。オルソン選手がクライフターンで翻弄された試合は予選リーグで、結果はスコアレスドローでした。 決して、あのシーンがチームの大勢に影響したわけではないのですが、今でも”クライフターンの初犠牲者”として語り継がれるインパクトの強いシーンです。
あれだけ見事に抜き去られたDFが白と赤のスパイクを履いていたことが、その後長い間、カラースパイクが許容されなかった要因の一つだったかもしれませんね。
昔のカラースパイクは否定的な見方をされたことをカズさんもこちらで語られています。
どうせならこういう歴史的スパイクをどこかの博物館に飾ってほしいです。
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『神に愛された西独製サッカースパイク』
80年代に数々の伝説を生んだサッカー界のスーパースターを足元から考察した論考。
クライフさんの実使用スパイクはオランダのサッカー博物館に展示されているらしいということを最近知りました。
こちらで紹介した、右足つま先の革の延長は片方(内側)だけだったのですね。
やはりこういうものはぜひ長く残してもらいたいですが、博物館の運営はいろいろ厳しいようですね。
他にもこんな画像もありました。
お宝スパイクの箱詰め…。
こちらは陳列後でしょうか?
同じ博物館かわかりませんが、こんな展示ブースの画像もありました。
オランダ選手が好んだ(?)ヒールタイプのモデルもあったようです。
このような由緒正しい品々が展示されていれば文句の一つもございません。
最近見つけた私設サッカー博物館(2022年、スペイン・マラガ開催)の情報です。
偉大なフットボーラー10人(W杯各10大会)のシャツ、ブーツ(スパイク)、ボールなどの展示会で、コレクターさんの持ち物だそうです。
ボールやシャツのことはよくわかりませんが、ブーツについてはどうしても注目してしまいます。
86年大会は当然ディエゴ様のスパイクでしょうか…。
別アングル
つま先の革の作りが独特な、なかなか興味深いモデルですが、見覚えがあります。
昔のスパイクを集めだして間もないころ、海外ネットオークションで見かけた覚えがあります。
競り負けたか、SOLD OUTだったかも忘れましたが、ディエゴ様実使用で出品していたかもしれません。
10人のうち、他のスパイクも気になりますが、90年大会のモデルもこちらの廉価版が置かれているのに違和感があります…。
82年大会はアントニョーニ選手のディアドラ
82年大会のモデルかな…?シュータンは黒かったような覚えがあります。
78年大会のケンペス選手のスパイク
数あるケンペス選手シグネチャーモデルの中で一番安いモデルですかね…。
他にペレ選手や皇帝のスパイクも展示されていたようですが、70~80年代のスパイクについては全般的に?な感じです。
